ついにヨーロッパアルプスの旅、最後の朝。

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今日も、ツェルマットは快晴だった。
(今回のヨーロッパアルプスの山旅を振り返る自分回想=備忘録的なので長いです。。)


上の画像はツェルマットのホテルから見た最後のマッターホルン。

ゴルナーグラート鉄道の一番列車が発車するのを見送り、ホテルでゆっくりと朝食。
(おっと、ここの朝食はまだアップしていなかったが、シンプルながら今回のヨーロッパアルプスの旅の朝食では一番美味しかった)

装備とヨーロッパアルプスの想い出をスーツケースに詰め、ザックを担いでスイス国鉄のツェルマット駅へ。
カタコトの英語でジュネーブ空港までの切符を買い、途中乗り換え駅より先まで行ってしまう列車を安全をとって見送り、乗換駅が終点の次の普通電車に乗り込む。

窓の外を眺めながら、つらつらとヨーロッパアルプスの山旅を振り返る。

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思い起こせば今年の2月、思いがけず会社の永年勤続表彰でもらった特別休暇。今まで考えたこともなかったヨーロッパアルプスのことが頭に浮かんだ。
新田次郎の「栄光の岸壁」や「銀嶺の人」で読んだ、あの憧れのヨーロッパアルプスやツェルマットのことが急に現実になるかもしれないと思って興奮した。
すぐにヨーロッパアルプスのことを調べ始めたが、現実には特別休暇とはいえ、夏に仕事を2週間もあけるにはなかなか無理がある。
しかも英語は超カタコトで、調べていくうちに地理のよくわからないヨーロッパアルプスの山小屋(ほとんど完全予約制)に国際電話をかけて個人で予約し、ルート間のローカルな交通機関を調べ上げて目的地にたどり着くのは超難問。

そこでシャモニーからツエルマットまでのオートルートのツアーを見つけ、これなら山小屋ほかの手配が必要ないこと、そしてスーツケースの回送サービスがあるので、仕事道具を持ちながら2週間を乗り切れる!と勇んで申し込んだらタッチの差で満席。。。_| ̄|○ 

慌ててツールドモンブランのツアーも調べて申し込むも、こちらも定員になっていて、仕方なくオートルートのキャンセル待ちにかけ、ツアーの前後に訪れたかった、シャモニーのラックブランと、ツェルマットからのマッターホルンを見るトレッキングのため、前後の日程をプラスして航空券だけ個人で手配。

やっとキャンセルが出てヨーロッパアルプスへの道が見えてきたのは5月くらいだったろうか。

7月下旬、ひとりで羽田の深夜便でウィーンに飛び、乗り継ぎでジュネーブ空港からシャモニーにたどり着いたのはすでに書いた通り。( シャモニーからラックブランへハイキング

そこから今日まで、夢のようなヨーロッパアルプスの日々はあっという間だった。

そんなヨーロッパアルプスの山旅とは自分にとってなんだったのだろうか。

元々の目的の「憧れの本場のヨーロッパアルプスを体験」し、日本では見ることのできない巨大な氷河や4000m峰の風景はやはり、強烈な印象を与えてくれた。そしてそんな風景を眺めながら山小屋で飲むビールのなんとうまいこと!
( オートルート シャトープレー湖からモアリー小屋へ )
( オートルート ツィナールからムンテ小屋へ )

ヨーロッパアルプスの山小屋や山小屋ごはんもこの山旅の大きな目的だった。日本の山小屋とは違う、完全予約制で、スープから始まり、メインとデザートまで出てくる山小屋ごはんは興味津々。
( ディス小屋の食事 )
( モアリー小屋の食事 )

そして、登山口から稜線の山小屋へ、次の日は峠を越えて谷の村のシャレーやロッジに泊まり、また稜線を目指して登っていくという登山スタイルも新鮮だった。必ずしも山頂にこだわらず、また縦走するときも途中の谷で交通機関を利用して途中をスキップしてハイライトを歩くというヨーロッパスタイルの縦走を知った。
(そもそもオートルートは完全に決まったルートはないそうで、シャモニーからツェルマットまで約200㎞の山々を好きなルートで行くのだそうだ)

今回はメインのオートルートをツアー登山で、前後のトレッキングをひとり登山というスタイルで行ったわけだが、「ツアー登山」というのも国内外で初体験。スーツケースの回送サービスや移動・宿泊、そして食事の手配も心配いらないというのは大きなメリットである反面、自分の記録を読み返してみても、ひとり登山の解放感、そしてひとりでレストランや交通機関でなんとかしていくという緊張感(笑)、そんなことを含めてやはり自分の力でなんとかしていくというスタイルが、自分にはあっているのだな、と感じた次第。
(念のために申し添えておくと、ツアーリーダーや現地ガイドのシルヴァン、そして参加者のみなさまがたはとってもいい人たちでした)

単線の山岳路線を列車は走り、

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ときおり、駅で下り電車(登り電車だけど)とすれ違いのために停車。

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そうこうしているうちに、電車は終点、乗換駅のVIPSへ到着。
ジュネーブ方面へ向かう、インターシティと呼ばれる特急に乗り換え。

なんと、こんなデカい犬を連れて乗る人もいて、ビックリ。

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今回のヨーロッパアルプスの山旅に行く、最大の難関は、2週間の休暇中の仕事。
結局、タブレットで会社のメールにアクセスしつつ、今流行りの「ワーケイション(ワーク+バケーション)」みたいな形で乗り切った。

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今までも、冬山にはいりつつ、仕事の課題を歩きながらえ、下山後に山の温泉宿で思考を整理してまとめる、なんてことを短期でもやっていたので、まっ、それと同じことなんだな、と自分でも納得。

こうして4時間弱の電車の旅が終わろうとするときに、間違えて「ジュネーブ駅」で降りてしまい(事前情報では特急はジュネーブ(コルナヴァン)駅までで、そこから別電車に乗ると思っていたのだが、そのまま特急に乗っていればジュネーブ空港に直通していたのだ_| ̄|○

同じく間違えて降車してしまったイタリア人(?)カップルとともに、誰もいなくなったホームで苦笑いしながら次の特急に乗り込み、ジュネーブ空港へ。

遅延して出発した40人乗りくらいの小型ジェットでフランクフルト空港へ。もともとトランジットの時間が1時間30分くらいしかなく、30分ほど遅れて到着した上に、フランクフルト空港は巨大かつ複雑な構造のハブ空港なので、飛行機を降りてバスで10分近くターミナルの入り口まで運ばれ、そこから猛ダッシュ。

同じターミナルなのに、エレベータで1階降りて連絡通路に。その連絡通路の長いこと長いこと。延々と走りぬいて日本便の発着するゲートの建物に着き、またエレベータで上の階に上がって、ここで出国手続きと税関に並ぶ。その関門をくぐりぬけ、またターミナルの端のほうにあるゲートまで走る走る、出発20分ほど前に、ようやくゲートまでたどり着き、日本の翼(青色のほう)を見たときにはめちゃめちゃホッとした(なんだかんだいって心細かったのね・・笑)

こうしてヨーロッパアルプスの山旅を終え、帰国の途につくのであった。

(完)

<オートルートについて>
今回の山旅では、「オートルート」と言いながら、ほんの一部しか歩いておらず、オートルートの全貌を知るにはこの本が一番。(私もこれで研究しました!)

 ヨーロッパアルプスのロングトレイル案内2 スイス南西部アルプスの高峰を巡る:オートルートとマッターホルン・モンテローザ一周トレイル


<総集編> 時系列順
シャモニーのレストラン アトモスフィア
シャモニーからラックブランへハイキング
ラックブラン小屋のオムレツ
シャモニーからエギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)、ドリューを見に行くハイキング
オートルート ディス湖からディス小屋へ
ディス小屋の食事 
Grand Hotel Kurhaus の食事
オートルート シャトープレー湖からモアリー小屋へ
モアリー小屋の食事
オートルート モアリー小屋からツィナールへ
ツィナールのゴンドラテラスでレシュティ
オートルート ツィナールからグラン・ムンテ小屋へ
グランムンテ小屋の食事
グランムンテ小屋からツエルマット、そしてマッターホルンとのご対面
ツエルマットのレストラン Julenでランチ
ツェルマットから逆さマッターホルン絶景トレッキング!
ツェルマットで干し肉とサラミとビール祭り