徳本峠。

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山を歩きはじめたときから、いつかは島々宿から登ってみたいと思って幾年月。
その長年の宿題だった、徳本峠へのクラシックルートを初めて歩いた。


夜の中央道を走るが、一週間の疲れがたまっていて、長駆、島々宿まで行くつもりが、あえなく諏訪湖のサービスエリアで仮眠。
4時に起きて、再び疾走を始める。

5:30 島々宿の徳本峠入口から、ゲートを通り、すぐの河原の駐車場に車を停め、装備を整え 6:00出発。

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しばらくは、島々谷の流れを横に、林道をひたすら歩く。

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7:15 二俣到着。

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ここで林道にお別れして、徳本峠へのクラシックルートらしい、いい雰囲気の山道だ。

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何度も渓谷にかかる橋を渡り、戻りつつ

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徳本峠への道は続く。

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島々谷の音に癒され、

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美しい流れに心なごむ。

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いくつ橋を渡っただろう。

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川沿いの桟道もしっかりした道で不安はない。

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9:15 岩魚留小屋。

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もうずいぶん営業していないのだろうか。
人気のない小屋の横には、真っ赤な紅葉だけが。

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ここからさらに細くなった源流部にはいり、川沿いを歩く。
けっこうスリリングな丸太橋もあり。

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最後の木橋を渡ると、

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尾根筋へと登っていく。

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この九十九折の山道の途中に湧く、ちから水。

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これがなんともうまい山水で、今回の目的のひとつだったのだ。
プラティに2.5リットルほど水を汲み、ずっしりと重くなったザックを担ぎなおして、再び九十九折の道を登る。

やがてあたりは笹原になり、

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徳本峠小屋の屋根が見えると、峠はすぐそこ。
11:50 小屋の前に飛び出してみた風景は・・・・

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これぞウェストンも見たという、徳本峠からの北アルプスの眺めだ。

小屋でテントの受付をし、この季節、この時間にしてほぼいっぱいだったテント場に運よく空きスペースを確保。

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テント場から45秒の展望台から見た明神岳。

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景色を堪能し、戻ったテントで、ビールをあけ読書など。

今回は久しぶりに読み返す、北杜夫の「白きたおやかな峰」。

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山をはじめたころに、この本で、ヒマラヤ登山に夢を馳せた。

じつは、擦り切れるほどに読んだ新潮文庫を実家を出るときに紛失してしまい、以来、絶版で長らく手に入らなかったのだが新たに河出文庫で復刊され、さっそく買ったところだったのだ。

ひとしきり読書を楽しみ、夕暮れにひとり山めしの宴。
本日のメインは、題して、徳本峠鍋。

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詳しくは、明日の山めし礼讃で。

今回の徳本峠山行のメインテーマはこれ。
ちから水で割る、水割りを飲りにきたのだ。

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この、ちから水で割った山崎が、えもいわれぬほど美味で、一口飲んでは陶酔、二口呑んではため息。
いや、極上の一杯。

こんなまろやかで、香り立つ水割りをのんだことないと思うくらい、涙が出るほどうまかった。

ああ、ここを歩いてよかった(笑)

もう、この徳本峠の山行はこれにつきるのだが、プラティにいれた、ちから水が氷るほど寒い翌朝の
徳本峠の夜明け。

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そして萌える明神岳。

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もう何も足さない、何も引かない。
言うことのない、極上の山の水割りと静かな徳本峠へのクラシックルートに心癒される山旅であった。

【白きたおやかな峰:北 杜夫】
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 登山を始めた頃、夢中になって何度も読んだ。
 この本で、海外遠征登山の様子や、極地法登山のやり方、よく登場する食のシーンなど、自分がそこにいるかのようなリアルな感覚を味わったものだ。