さて、いよいよ本番の朝。

前の日に仕事を終え、23時に転がり込んだ志木のホテル。
4時30分にホテルをでて、志木の駅から、東武線の始発に乗り、東武小川町の駅へ。

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しかし、そこはすでに縦走大会参加者で、長蛇の列ができていたのである・・・



いつもの単独行、人の少ない時期や時間を狙っている自分にとっては、「大会」など初めての経験。
しかも、池袋より先の、志木から乗った始発でこれである。

まわりは人でごった返し、とりあえず長蛇の列の最後尾に、あたふたと並んだ。

はるか彼方に、縦走大会歓迎のアーチが見える。
そこまで数百人はすでに並んでいる。
いったいこの人たちはどこから現れたのか・・・?

いつもと勝手が違うスタートに、やや興奮気味でテンションの高まっている私の横に、どこからともなくスターウォーズにでてくる、オビワン・ケノービ風のおじいさんが現れ、話しかけられた。

オビワン 「初めて参加でっか?」

 「はい。始発できたのにこんなに人が多いとは・・・」

オビワン 「わしはこの大会に何度もきとるが、官ノ倉山の渋滞はえらいこっちゃで」

(注:このおじいさんが大阪弁だったかどうかは定かではない)


私は今日、あまり時間がないのだ。
少なくとも17時までには完走か途中撤退で駅まで戻らなくてはならない。

そこで東武小川町駅前のオビワンは、私の心を見透かしたかのように言った。

「ルーク、フォースを使え。」

 「えっ? フォース???
  (順番抜かせってこと? ん? フォースなんてないんすけど・・・)

「ルーク、フォースを使うのだ」

 (ルークちゃうっちゅうねん!)


そこで、オビワンは少し違うことを言った。

「ルーク、トーブを使うのだ」

 「えっ? ・・・・・・??????」


そのとき、長蛇の列が動き始めた。
受付が開始されたらしい。

と同時に、オビワンの姿は、またどこへともなく消えていった。

動き出した列が停まった。
まだ歓迎のアーチははるか彼方である。

周りの人の声が聞こえてきた。
(この会話も大阪弁だったかどうかは定かでない・・笑)

「去年もえらい渋滞したらしいでぇ」

「あそこは細い一本道でクサリ場もあるからなぁ」

「慣れた人はBコースから行くらしいでぇ」


ん、Bコース?

聞きなれない言葉に、もう一度案内書を見直してみた。

大会受付は小川町駅前。
 Aコースは小川町駅前からスタート。
 Bコースは東武竹沢駅からスタート。

今回「42.195km」だけが心に印象付けられ、Bコースなるものは眼中になかった。
ショートカットコースくらいにしか考えていなかったのだが、どうも、官ノ倉山手前の渋滞緩和のための別ルートらしい。

再び列が動き出し、大会のゲートが近くなる。

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人波に押されるようにして受付。
チェックポイントのカードを受け取り、出口へ。

そこでまたオビワンの声が聞こえた。

 「ルーク、トーブを使うのだ」

 (ルークとちゃうっちゅうねんっ!)

 ん?

 「トーブ・・・、トーブなんですね!?」

 「そうだ。ルーク。トーブを使うのだ。走れ、走るのだ、ルーク。」

次の瞬間、何かに取り付かれたように、私は30分前にでてきた改札に飛び込み、発車間際の電車に飛び乗った。

 「そうだっ!トーブを使うのだ!」


2分ほど乗って、Bコースの出発点、東武竹沢駅に到着。
改札が狭く、結局駅をでるのに10分近くかかってしまった。。

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駅前でウォーミングアップをし、心なしかゆったりとした気分で縦走スタート。

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やや広い舗装された道を官ノ倉山へ向かって歩き出す。
春の花がところどころに咲き、のどかな風景だ。

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快足モードで、ごぼう抜き。

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師よ、オビワン・ケノービ、あなたのおかげだ。

さすがはジェダイマスター。
この縦走大会を熟知した師の言葉は重かった。

やがて山道が見えてきた。
しかし笑っていられたのはここまでだったのだ。

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官ノ倉山への山道にはいると、いきなり渋滞。。。

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先のほう、官ノ倉山の稜線あたりを見上げると、つづら折の山道に、人がビッシリ。

「ジェダイマスター、これは一体・・・?」

しかし、そのとき、オビワンはもう、何も答えてはくれなかった。

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これは大きな誤算である。

官ノ倉山のはるか手前からこれでは、先行きはどうなるのだ。
これからはじまる、40億光年を超える銀河の旅、いや、ちがった、40kmを超える縦走の先を思い、心は揺れていた。

(いきなり、つづく・・・)

↑ちょっとぉ、なんぼなんでも早すぎるんとちゃう?ルーク!


注:この物語はフィクションの部分もあるが、
  概ね事実であり、私の周りと心の中で  
  起こった出来事である・・笑


外秩父七峰縦走大会の記 エピソード2(帝国の逆襲) へとつづく