東北新幹線の那須塩原駅から、バスに揺られて1時間余り。



那須ロープウェイ山麓駅に着く。

登山口手前の駐車場横から見上げる朝日岳。



いい天気だ。

ストレッチとヒンズースクワットで準備運動をし、鳥居をくぐって山に入る。



しばらくすると、視界が開け、左手に巨大な茶臼岳が噴煙をあげるところを眺めながら登っていく。



やがて、前方に、峠の避難小屋が見えてきた。



右を見れば、峻立する朝日岳の岩肌。



40分ほどで、峠の茶屋跡避難小屋だ。



以前訪れたのは、10年ほど前。
猛烈な風と吹雪に翻弄された思い出がある。

ここは70㎏以上ある人が、30kg.のザックごと風に飛ばされたこともあるという、風の難所。
前回は、この鎖場を降りるのに、決死の覚悟で臨んだものだ。



今日はそんなことがあったとは思えないような無風に近い天気。

水だけ飲み、朝日岳への道へ。

稜線に張り付くように登る登山者たち。



そこに至るまでも、結構な鎖場やトラバースがあり、10年前の雪がついた難所を、よくぞ行ったものだ。



さらに、大岩にはスリップしないように取り付けられた、横木なんかもあって、雪が張り付いてそうとう怖かったのか、それとも全体が雪に覆われて、別のステップを切ったのか、さっぱり覚えていない。



どんどん高度を上げ、朝日岳の肩から、山頂を見上げる。



そこから頂上まではほんの10分ほどだ。



朝日岳到着。



目の前には茶臼岳。



右手を見ると、これから歩く尾根。



360度の展望を楽しみ、朝日の肩へ戻って、山めしランチ。



今回の山めしは、最高のデキと自画自賛する一品だった。
詳しくは後日の山めし礼讃で。

肩から、また登り返し、



熊見曾根へ。



そこから尾根を隠居倉のほうへと行く。



これまでの賑わいとはうってかわって、ここからはほぼ人に会わない道。

隠居倉から振返った朝日岳方面。



眼前に迫る茶臼岳の迫力にも圧倒される。



展望はここまでで、一気に三斗小屋温泉へと尾根を下っていく。



急な下降がしばらく続き、傾斜がややゆるくなってきたところで、前方からなにやら地響きのような音と、白い煙があがっている。



三斗小屋温泉の源泉だ。



近くまで行くと。ゴーッという地底から響くような音とともに、ゴボゴボと熱い湯が噴出している。



あたりは熱気に包まれ、大地のエネルギーを感じずにはいられなかった。



なんだか、妙にパワーをもらったような気分になり、快速でさらに下る。

ほどなく鳥居が見えて、



三斗小屋温泉に到着。

前回、雪の中を峠越えで4時間かかったときには、露天風呂のある煙草屋さんだったので、今回は、もう1軒の大黒屋さんのほうへ。



予約していた旨を告げると、日当たりのいい、角部屋に案内された。



麓から早くても2時間以上歩かないと辿りつかない三斗小屋温泉。
これは山小屋としか言えない立地なのだが、温泉宿なので、一人でも一部屋を使わせていただける。

大黒屋さんの温泉は、大湯と、岩風呂の2箇所の内湯があるのだが、1時間ごとの男女入れ替えで、ちょうどついた時刻はぬるい岩風呂の時間だったので、しばし読書で温泉待ち。



今回持参したのは、川上徹也さんの「ザ・殺し文句」。
著名人、政治家などのの名言として残る殺し文句と背景の話、そしてその殺し文句の理論的な成り立ちを解説していて、とっても勉強になる。

15時になったら、大湯へ。
露天ではないのだが、木造の湯屋の2面がガラス窓になっていて、すこぶる開放感があり、極楽気分。
誰もいない温泉で、ゆったりと日頃の疲れを癒すことができた。

夕暮れに。
窓から見えた光景。



明日の好天を祈りつつ、この後の大黒屋の食事とビールに期待が高まるのであった。



（つづく）