前夜、赤岳鉱泉のテント場で、雪のふる中、ぐっすり眠り、いよいよ冬山縦走の本番。

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硫黄岳を越え、稲子湯まで、冬の八ヶ岳を行くのだ。




朝4時に起床。
サクッと朝食をすませ、雪に埋もれ、凍ったテントを撤収。

まだ真っ暗な中、冬山完全装備でアイゼンを穿き、準備運動とヒンズースクワットをして、5:30に赤岳鉱泉を出発。

ヘッドライトの明かりを頼りに、雪の中を行軍だ。

昨夜かなり降ったようで、尾根にとりついてからも、けっこう足が雪にもぐる・・・

だいぶ上部まで登ってきた頃に、夜明時間を迎えたのだが、いっこうに空が見えず、粉雪まで舞っているほど。

もう15分くらいで赤岩の頭かな・・というところで、トレースはかなり心細くなり、雪もこんな感じ。

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硫黄岳の見えるポイントまで上がってきても、いっこうに雪雲は晴れる気配がない・・・_| ̄|○

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雪はさらに深さを増し、

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赤岩の頭にとびだしたら、股までもぐるラッセルだ。

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ここで、後ろからの2人組みが追いついてきた。

ふだんなら、ここから硫黄岳までの稜線は強風地帯で雪が積もっていることはほとんどないのだが、今回はこの先も、股下くらいのラッセルがけっこう続く。

ここまでのラッセルでかなり体力を消耗していて、2人組みさんに先に行っていただく。
彼らもだいぶ苦労をしていたが、やがて積雪地帯を突破。

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すると・・・

ん?

ん、んーーーーーーーーーーーー???

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なんか青空が見えたような・・・????

高鳴る胸の鼓動を抑えきれず、スーパーハイスピードで最後の岩稜を乗り越え、硫黄岳の山頂にあがると、

あれぇっーーーーーーーーーーーーー!!!!

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強風とともに雪雲が吹き飛ばされ、上空に真っ青な空が。

寒さにブルブル震えつつ、雲の中、目を凝らしていると・・・

んん??

あの頂は・・・?

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おおおっーーーーーーーーーーーーー!!!
阿弥陀岳か?

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その左にさらに鋭鋒の影が・・・・ 

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赤岳~っ!!!!

うわっーーーーーーーー!!!!

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心の中で絶叫しつつ、シャッターをきりまくる。

このドラマチックな冬の八ヶ岳の雪山ショーに、すっかり興奮。
時の経つのも忘れて魅入ってしまった。

さてさて、今日は雪山の長丁場。
そろそろ行かねば。

われに返り、ザックを担いで、天狗岳方面へと。

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ここから夏沢峠へ向けて下るのだが、この先はまだ吹雪いている感じ・・・

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気合を入れて下るぞ。
もともとこの硫黄岳~夏沢峠の斜面は強風帯で、雪も吹き飛ばされて少ないところなのだが、本日はノートレースの、ひざ下ラッセル。

下りだからなんということはないのだが、ルートを外さないようにしつつ飛ばしていく。

いけどもいけども、ラッセルは続き、誰も会う人はない。

半分吹雪のような天候の中、そろそろ樹林帯にはいる・・・という頃合いで前方から、

 「あっーーー!!人だーーーあ!」

という大きな声がした。
どうもガイド登山らしく8人くらいのパーティが登ってきたのだが
ここまで誰にも出会わず、ところにより胸まであるラッセルだったらしい。

ほっ。

お互いに、この先トレースがあることに安堵しつつ、8人パーティを見送る。

10:20 夏沢峠。

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しばしパンとテルモスのお湯でエネルギーと水分を補給だ。

ここから樹林帯の中を、雪にまみれつつ、箕冠山へとすすんでいく。
依然として、雪が舞い、空は見えないまま。

根石岳の手前、根石山荘のあたりまででてくると・・・

ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

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あたり一面真っ白。
西からの強風に、雪。

意を決して根石岳の登りにとりかかるが、風が強い上に、この稜線ではありえないほどに積雪が。
もちろんトレースはない。

うーむ。
根石岳のこちら側でこれだけのラッセルならば、北側の斜面、そして天狗岳の鞍部と登りは相当な雪の量に違いない。

現在時刻、11:30。
腰までくらいのハードラッセルが東天狗岳、最悪、中山峠まで続くと・・・

とても日没までに稲子湯にたどりつけそうにない。

しばし逡巡し、踵をかえして、箕冠山方面へと引き返す。
おっと、箕冠山から下りてきた自分のトレースが消えているではないかw

樹林帯の中まで逃げ込み、そのまま夏沢峠まで引き返す。

12:30 再び夏沢峠。
悔しいが、ここから本沢温泉経由でみどり池にでて稲子湯に下山するしかない。

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意気消沈しつつも、ここから雪道をコースタイムで4時間近く、しかも、みどり池へのトレースがなかったら・・と凍ったテントがズッシリ重い、テン泊装備のザックを背負ったまま飛ぶように本沢温泉へと下っていく。

幸い、本沢温泉からみどり池へのトレースもしっかりしており、荷は重いがなんとかなりそうだ。

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14:45 みどり池のしらびそ小屋に到着。
お湯を飲んで水分補給し、行動食でラストスパートに備える。

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凍ったみどり池の向こうには、天狗岳。

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いいさ、またこの冬にリベンジしにこよう。

朝5時からテン泊装備を背負って11時間あまり、疲労が目に見えて濃くなってきたが、なんとか日没直前、16:20に稲子湯にゴール。

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いや、ハードラッセル、吹雪での撤退、一瞬の晴天・・・
波乱万丈な雪山シーズンインであった。

あとは稲子湯のお湯につかって、ビールだ!!

(この後、稲子湯の泊まりは私を含めて単独行の男性2人だけで、
 その方が天狗岳から根石岳へ縦走を試みるも、腰までのラッセルで断念、
 中山峠へ引き返されたとのこと。
 いや、いい撤退判断であった。)