荒川小屋から縦走し、暑い暑い長い長い下りを歩ききって到着した、二軒小屋ロッヂ。

20160806nikengoya-029.jpg

まずは生ビール!といきたいところだが、グッとこらえ、昨日ずぶ濡れのままになっているザックの中身を乾かさなくては・・・(笑)




二軒小屋ロッヂの受付で宿泊手続きを済ませると、ザックは小屋の外に一旦置いて、部屋だけ案内していただく。

これは、2階の回廊から下の吹き抜け食堂を見たところ。

20160818nikengoya-002.jpg

部屋は相部屋で、この2階の回廊に点在している。
私が案内された部屋は、6人が入れる段違いのベッド式。

20160818nikengoya-003.jpg

寝場所のベッドを決めると、一旦ロッヂの外に出て、二軒小屋ロッヂの美しい芝生のテント場で、テントを立ててひっくり返し、フライもひろげ、ザックの中身を全部出して乾かす。

夏の強烈な日差しだったので、ものの30分で全て乾き、それぞれ畳んで、収納して、ザックを背負う。

部屋にザックを放り込んだら、ダッシュで食堂に。

待ちに待った、この瞬間。
テラスで独り、この山旅のゴールに乾杯っ!

20160818nikengoya-001.jpg

うぐ、うぐ、ぷはぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

五臓六腑にしみわたるぅっ。

16時のお風呂に一番で飛び込み、その後は夢にまで見た、二軒小屋ロッヂのディナー。

<二軒小屋ロッヂのディナーの様子は山めし礼讃で>
 二軒小屋ロッヂの食事

消灯後は、この3日間の疲れがどっと出て、泥のように眠る。

そして、二軒小屋ロッヂの朝ごはん。

20160818nikengoya-005.jpg

昨夜のディナーに比べると、グッとシンプルだが、この野菜サラダひとつをとっても、ひとつひとつの野菜の味わいが、噛みしめるほどによくわかる、実に素材を大切に料理されたものだということがわかる。

20160818nikengoya-006.jpg

肉厚な焼鮭も。

20160818nikengoya-007.jpg

味噌汁も、ごはんも、こんなに味わて食べたのはいつ以来だろうか。

昨夜のディナーの時の松井シェフの言葉が、実感できる朝食なのだ。

8:00にチェックアウトした後、9:15の始発バスまで間があるので、二軒小屋ロッヂのテント場のテーブルで読書。

20160818nikengoya-008.jpg

山の冷気がまだ残っていて、すこぶる気持ちいい。

昨日、二軒小屋ロッヂに着いてから、じっくり読んでいるこの本。

20160818nikengoya-009.jpg

この本の33番目の問いに、いたく心に突き刺さった言葉がある。

 “旅に目的地があるのはいいことだが、
   本当に大事なのは、旅そのものである” 作家 アーシュラ・K・ル=グウィン

目的地(ゴール・成功)にたどり着くことだけを考えるのではなく、
旅そのもの(プロセス)に集中できていますか?

目標も、成功も大事だが、我々がコントロールできるのは、成功できるかどうかではなく
目標を立てたり、それに向かって努力をし、その過程を楽しむことだと。

一昨日の13時間の死闘の後に、本を読んだり、人生のことを考えるゆとりがあっただろうか?

歩ききること、やりきることが目的なら、それもいい。
それもひとつの山歩き。

しかし、自分の山歩きは、考えること、見つけること、感じること、
心豊かになることを目的にしたい。

今、二軒小屋ロッヂの芝生のベンチで、森のすんだ空気を浴びながら、
二軒小屋の夕食と、安眠、そして人に癒され、本を読み、人生を考えるゆとりを取り戻せた。

この、瑞々しい感覚を、忘れないようにしよう。
山と、二軒小屋ロッヂの松井シェフ夫妻、感じのいいスタッフのみなさんに感謝。

ほんとうにいい、南アルプスの山旅であった。


【ハーバードの人生を変える授業(2)】
 ハーバードの人生を変える授業(2)  
 今回の山旅を通して、いたく気づきの多かった、示唆をくれた本。


(完)