晩秋の雨飾山の登山口、雨飾温泉で美味しい夕食をいただいたあと、再び温泉で温まり、ぐっすりと眠る。

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そして、翌日、新潟側から登った雨飾山で待ち受けていたものは・・・


夜半に目を覚ますと、屋根を叩く激しい雨音。
5時に雨飾山荘の朝ごはんを食べ終わっても、まだ雨音が。。。

仕方なく意を決して、部屋で雨具を着込み、玄関の外で登山計画書を出していたら、ちょうど雨がやんだ。

駐車場で装備を整え、

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6:15 いざ、出発。

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山頂までゆっくり歩いて4時間。
急登とは聞くものの、楽勝だ。

雨飾山荘横から山道へ。

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噂どおり、のっけから急な登りが続く。

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そのうち、昨夜の雨が雪となって現れ、

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ハシゴもでてきた。

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まばらだった雪も、

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そのうち、山道を隠すほどになり、

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紅葉も真っ白。

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振り返れば、鋸岳方面にも朝日が射し、

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日本海まで見渡すことができた。

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しかし、雪はさらに量を増し、梯子も凍っている。

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このアルミ梯子を越えると、いっぷくどころ。
急な登りの中で、一息つけるところだ。

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この上から本格的な雪道に。

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ザクザクと気持ちのよい足元の音が、次第に、ズボッ、ズボッという鈍い響きになり、

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踏み抜きそうなくらいの雪の量。

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凍った中の池、8:30 到着。

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寒くて休んでいられないので、さらに進むが、傾斜はどんどんキツクなり、急斜面で雪の下の足場を探ることも困難になってきた。

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ときおりルートを外すと、笹薮の上に積もった雪とともに、ズルズルと1mほど滑り落ちる。

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前方に稜線が見える頃になると、積雪は40cm.近くになり、

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ひざ下までもぐるようなありさま。
まだ冬山装備ではなかったので、夏用登山靴に雨具のパンツでどこまで頑張れるだろうか。。。

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急斜面では、フィックスロープを雪の下から探して掘り起こし、

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短くしたピッケル代わりのストックでなんとか乗り越えていく。

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いや、もう、ほとんど雪山ラッセルの世界。

どんどん増す傾斜と雪の量に、苦しい戦いをしながら、気がつくと、ひとり笑っている。
昨夜読んだ、茂木健一郎さんの本を思い出した。

苦しい山歩きになればなるほど、この後の達成感と快感は大きい。
いま、きっと脳の中でドーパミンがドバドバと放出されているに違いない(ドMか!)

きっと冬山でいろんな課題を考え抜いて、解決策をひねり出してきたことも、中山峠へ独りハードラッセルを戦い抜いた時も、烈風の根石岳から東天狗岳を登りつめて頭の中が真っ白になったときも、きっと脳の中にドーパミンが溢れだし、答えが閃いていたに違いない。

やはりドM山行はやめられないのだろうか・・笑

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稜線を見上げると、前方に白く輝く樹氷。

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白く輝くもの=アルビオン という言葉とともに、頭の中にはあの曲が流れていた。

“I'm not in love”。10CCの、「 オリジナル・サウンドトラック 」の中の名曲だ。
あのコーラスの幻想的な世界が、眼の前にある。

透明感のある、あの間奏を初めて聞いたとき、どこか別世界に魂を連れていかれそうになるような感覚を覚え、鳥肌がたったものだ。

見上げれば青空に樹氷が白く光り、

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不思議な感覚のまま、稜線へ。

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北側斜面を登りきって出た稜線は、光の海だった。

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雪化粧した雨飾山。

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岩に雪がべったりついて滑りやすい頂上直下の急登を、慎重に登り、

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あと少し。

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頂上に飛び出した。

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9:40 雨飾山 山頂到着。

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北アルプス方面。

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こちらは火打山方面。

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日本海までくっきり見渡せる快晴。

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せっかくなので、雪山の山頂で、雪見野点で一服しますか。

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しばし、野点でまったり。

いただきものの甘くないチョコを、ありがたくいただき、

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名残は惜しいが、あの雪の斜面がグズグズにならないうちに下山をはじめる。

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火打山方面も見納め。

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ここからは軽アイゼンを着けて、スリップしないように慎重に下降していく。

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雨飾温泉(梶山新湯)への分岐から、ふたたび北側斜面へ。

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登ってくるときにはあれほどしんどかった雪の斜面だが、自分のつけたトレースで、足の置き場がはっきりしているので、下山はとっても楽ちん。

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トレースってありがたい(笑)

結局、この日このルートは私一人だったようで、来た時の足跡を忠実に下る。

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思いもかけない雪山ラッセルと紅葉。

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ズンズンと下りながら、

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なんだか笑みがこぼれてくる。

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最後は、お世話になった雨飾山荘のご主人に、下山報告とお礼を告げて、

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山を下りるのであった。
素敵な雨飾山荘の湯と食事、ドーパミンたっぷりの山歩きに、感謝。

(完)