長くて短い、一日だった。

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その八ヶ岳、天狗岳の山歩きの話。




なんだか不完全燃焼な週だったが、なんとか週末には山歩きに。
いろいろ行く先を迷った末、考え事をしながら歩ける八ヶ岳の天狗岳へ。

深夜に中央道を走り、双葉のSAで仮眠。
夜明け前に起床して、さらに走り、八ヶ岳の登山口、唐沢鉱泉へ。

ここで装備を整え、7:45 唐沢鉱泉出発。

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本日は、西天狗への尾根直登コースだ。

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まだ日陰の森の中を歩く。

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考えなければいけないことが一杯で、山道を歩きつつ、何から頭の整理をしたらいいか。
そんなこんなしているうちに、足は勝手に動いて、第一展望台。

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風はあるのだが、天気は晴朗。

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ほどなく第二展望台。

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目指す西天狗も見えた。

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ここからいったん少し下り、登り返しつつ樹林帯を抜けると、西天狗岳へのラストスパートの巨岩帯だ。

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冬山の時期は、岩と雪のミックスで、強風にも晒されてパワーのいるところだが、この晴天、なんの障害もなく、サクッと登る。

9:50 西天狗山頂到着。

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東側の開けたほうで、ちょっと早いけれど山めしランチ。
久々のオールフリー。

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一時間半ほどもまったり山頂ランチをして、東天狗岳へ。

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20分ほどすると、最後の登り。

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11:40 東天狗山頂。

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いい天気なので、山頂では三々五々、登ってきた人たちがかわりばんこに記念撮影。

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いつもなら、稜線を中山峠へ下るのだが、ふと行ってみるかと思って、途中から黒百合平への直接ルートへ。

楽勝かと思いきや、西風の直撃を受け、強風に煽られ歩きにくいことこの上ない。
1時間ほど強風と戦って、黒百合ヒュッテに。

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ここで、黒百合ヒュッテのこけももティーでも・・と頭をかすめたが、考え事もまとまっていないことだし、歩きますか。

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ヒュッテを後にして、渋の湯方面の森の道へ。いつもならここから渋の湯へ下るのだが、八方台方面の道へと直進する。

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どんだけこの山域を歩いてるんだ、というくらい来ている山だが意外にこの道は歩いたことがなく、ちょっと新鮮。

あまり人が歩かないルートだと、自分は勝手に思い込んでいたが、けっこう踏まれていて、道は明瞭で歩きやすい。

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が、予想通り、渋の湯の分岐から先は誰一人会うことはなかった。

今日は、山を歩きながら考え事をしたかった。
この、1年、そして直近の数か月。

仕事でも大きな成果をだし、組織が大きくなり、そしてまた壁がたちはだかった。
それを乗り越えるすべを考えたかった。
そして、行き詰っている自分の心に、情熱を取り戻し、進むべき道を拓きたかった。

が、ここしばらくは、何を考えたらいいのか、それすらわからなくなるほどのスランプ。
今日も、山を歩きながら、考えの焦点が定まらず、ただ歩きながら時間が過ぎていくのを焦るばかり。

朝、唐沢鉱泉を出発してから、一日山を歩き、森を巡って、八方台の手前まで辿りついた。
もしかすると、山頂の景色が、山めしの爽快さが、それがダメなら、八方台の近くまで行けば、鮮やかな黄葉が、心に情熱を取り戻させてくれるかも。
そんな淡い、あてのない期待をしつつ。

しかし、黒百合平から誰もいないパノラマコースを歩けど歩けど、黄葉のカラマツに出会うことはなかった。

唐沢鉱泉まで、あと20分ほど。
ついに、思考はまとまらなかった。

ちょうど、唐沢鉱泉の裏手まで下りてきたときに、上のほうに何か輝くモノの気配がした。

あっ、カラマツの黄葉。

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心打たれた。

朝から山頂まで登り、高度高く、森を広く探し求めた何か。
それは、結局、スタート地点の、すぐそこにあったのだ。

まるで、「青い鳥」じゃないか。

何かに導かれるように、唐沢鉱泉の湯船に浸かって汗を流し、部屋で、この本を開く。

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最初の1章、2章で、心の中で何かが溶け始めた。

昨年から、今年にかけて、自己啓発書の類を何十冊読んだだろうか。
だが、テクニックや、流行りの流儀、新しい思想に、どこか馴染めずにいた。

  思想を変え、戦略を考え抜いて、そしてそれに則って行動しなければならない。
  なのに、考えがまとまらず、行動がどんどん鈍くなる。

しかし、この本には、自分が忘れていた、たったひとつの、とても単純な解が書かれていた。

  行動が感情を生む。
 
  良い考えと、良い行動が良い感情を生み、
  悪い考えと、悪い行動が悪い感情を生む。

  人格は行動の積み重ねであり、行動とは訓練の積み重ねである。

新入社員に毛の生えたくらいのころ、会社の当時の宣伝部長だった人からこんな言葉を教えられた。

  意識が行動を作る。
  行動が習慣を作る。
  習慣が人格を作る。
  人格が運命を作る。

青い鳥は、自分の中にあった。

すでに故人となられた当時の上司、宣伝部長に、今、私はようやくその言葉を本当の意味で理解しましたと、山奥の温泉宿の部屋で独り、そう、数十年後の報告をしながら、合掌するのであった。