カヴァルニーからローランの裂け目(Breche de Roland)へ。
カヴァルニーへ到着した翌日、今回のピレネーの山旅のハイライト、ローランの裂け目へのトレッキングだ。
カヴァルニーへ到着した翌日、今回のピレネーの山旅のハイライト、ローランの裂け目へのトレッキングだ。
朝7:00にホテルの朝食をいただき、8:00に手配をお願いしていた車で、出発点のタンテ峠(Col de Tentes)まで上がる。
タンテ峠は、標高2208m。
まだ空気はひんやりと冷たく、そして、快晴だ!
本日はこのタンテ峠からローランの裂け目までの往復、車を手配してくれたエージェントさんによると、余裕を見て往復8時間、ということだったので、17時にまたこの駐車場へ車に迎えに来てもらう手はずになっている。
右手に見える山を越えて、その裏側にスペインとの国境越えができることで有名な「ローランの裂け目」がある。
さて、準備運動をして、出発しますか。
8:35 タンテ峠をスタート。
しばらくは、ゆるい登りの林道で、真っ正面のコルから、左の山腹をトラバースするルート。
涼しい風に吹かれ、少し肌寒く感じるほどだが、快調に歩き出す。
20分ほどで、スペインとの国境、ブハルェロ峠。
ここから左に登って行き、トラバースルートが始まる。
清々しい縦走気分。
雄大な山の景色に、心も軽く。
ひたすらトラバース道を歩くと、右手に滝のような沢が現れる。
ここが、ローランの裂け目への分岐。
右へ登るとローランの裂け目へ。沢を横切って下ると、カヴァルニーに直接降りるルートがある。
この標識がこの後の運命を決めることになるとは、このとき知るよしもない。。。
けっこう水量のある沢で、急でもあり、どこで徒渉するのかわかりにくいところだ。
難なく沢を越え、登り詰めると、雪の残る鞍部に。
さらに岩と砂礫の道をひと登りすると、
斜面にへばりつくように建っている山小屋、サラデッ小屋が見える。
小屋にはトイレと、水場もある。
このサラデッ小屋に近づくと、おおっ!あれがローランの裂け目だっ!
小屋からは、砂礫の稜線を登る。
これがなかなか滑りやすく、思うように進めない。
ズルッといかないように一歩一歩確実に登り、
おお、もうすぐそこだ!
と、思ったのだが、遠近法による錯覚で、登り切ったと思ったテラスから見ると、ローランの裂け目まだかなり上だった。
スケールの大きさに驚きながら、再び砂礫の道を歩く。
ここには山上湖もあり、
雪渓も残っている。
いよいよ最後の登りの岩場だ。
滑りやすく、脆い岩に注意しながら、
対向登山者と声をかけあい、難所を通過。
見上げると・・・
ローランの裂け目に到着~
真っ正面からスペインの風が吹き渡る。
あの人たちは、このまま国境を越えて、スペイン側のオルデサ渓谷へと行くのだな。
私はカヴァルニーに仕事がいっぱい詰まったスーツケースがあり、ここで引き返さねばならないのが残念。
30分ほど、涼しい風に吹かれながらフレンチピレネーの山々と、スペインピレネーの山々を眺めて、いい気分。
さて、体も冷えてきたのでボチボチ下りますか。
滑りやすい岩場を慎重に下り、砂礫の道をズルズルと滑りながら降りていく。
例の沢の徒渉地点。
そこを通過すると、タンテ峠とカヴァルニーの分岐点。
ここで持参してきたナッツ類とフランスパンをかじりながら、ランチ。
右に下っていけば、2時間でカヴァルニーに着く。
左に行けばタンテ峠。
現在、12時。
このペースだと、ゆっくり歩いても、タンテ峠に14時までには着いてしまう。迎えの車まで3時間も何もない(日陰もない)ところで車を待つより、このままカヴァルニーのホテルまで直行してビール!のほうがどう考えたっていい。
幸いスマホの電波はあり、エージェントさんに連絡をとって、迎えの車をキャンセルしてもらい、ビールを目指してカヴァルニー直行ルートへ。
地図を確認すると、あの左手の山腹沿いに、渓谷の下へ向かって降りていくのだな。
ここはほとんど登るひとも下る人もなく、マーモットだけが頻繁に現れる。
順調に下り続け、カヴァルニーまであと1時間!
ここを下れば・・・
と、異変はこの10分後に起こる。
グングン順調に下ってきたのはいいのだが、気温もグングン上がり、Tシャツ一枚になっていたのだけれど、汗がとめどなく噴き出し、急にペースダウン。
そのうちめまいと吐き気が同時に襲ってきて、道にバッタリ倒れ伏す。
ん? ん?
水を飲もうとしたが受け付けず、意識がもうろうとしてくる。
これ、熱中症じゃ?
やっちまったかー
誰も来ない山中で、脂汗を流しながら、どうするかを考える。
谷間に入っているので、電波もなく、ただカラダの回復を待つのみ。
吐き気がおさまってきたところで、よろよろと立ち上がり、ストックにすがりながら、3歩あるいて立ち止まり、座り込んでは頭を抱えて横になる。。。
昔、栂海新道の最終日に襲われて、ぶっ倒れた熱中症のことを思い出す。
あのときも誰もいない山中で、這って降りるしかなかった。
まさかこの異国の地でこんなことになろうとは・・・
落ち武者のようにストックにすがり、よろよろと歩き出し、2時間ほどかけて村の外れに到達。
ああっ、ホテルが見えた!助かる!
ここからホテルまでの道のりも遠かったが、ホテルの敷地に入った途端、どうにもならなくなり再び座り込む。
そのまま目の前のホテルまでの30メートルが歩けず、30分ほどそのままいたが、ようやく動けるようになり、部屋にゴール。
登山靴を脱ぐこともできずに、そのままベッドに倒れ込む。
いやはや、とりあえず生還だ。
(つづく)
ピレネーの山旅、日本からフレンチピレネーへの旅立ち篇はこちら。
ピレネー山脈への山旅
タンテ峠は、標高2208m。
まだ空気はひんやりと冷たく、そして、快晴だ!
本日はこのタンテ峠からローランの裂け目までの往復、車を手配してくれたエージェントさんによると、余裕を見て往復8時間、ということだったので、17時にまたこの駐車場へ車に迎えに来てもらう手はずになっている。
右手に見える山を越えて、その裏側にスペインとの国境越えができることで有名な「ローランの裂け目」がある。
さて、準備運動をして、出発しますか。
8:35 タンテ峠をスタート。
しばらくは、ゆるい登りの林道で、真っ正面のコルから、左の山腹をトラバースするルート。
涼しい風に吹かれ、少し肌寒く感じるほどだが、快調に歩き出す。
20分ほどで、スペインとの国境、ブハルェロ峠。
ここから左に登って行き、トラバースルートが始まる。
清々しい縦走気分。
雄大な山の景色に、心も軽く。
ひたすらトラバース道を歩くと、右手に滝のような沢が現れる。
ここが、ローランの裂け目への分岐。
右へ登るとローランの裂け目へ。沢を横切って下ると、カヴァルニーに直接降りるルートがある。
この標識がこの後の運命を決めることになるとは、このとき知るよしもない。。。
けっこう水量のある沢で、急でもあり、どこで徒渉するのかわかりにくいところだ。
難なく沢を越え、登り詰めると、雪の残る鞍部に。
さらに岩と砂礫の道をひと登りすると、
斜面にへばりつくように建っている山小屋、サラデッ小屋が見える。
小屋にはトイレと、水場もある。
このサラデッ小屋に近づくと、おおっ!あれがローランの裂け目だっ!
小屋からは、砂礫の稜線を登る。
これがなかなか滑りやすく、思うように進めない。
ズルッといかないように一歩一歩確実に登り、
おお、もうすぐそこだ!
と、思ったのだが、遠近法による錯覚で、登り切ったと思ったテラスから見ると、ローランの裂け目まだかなり上だった。
スケールの大きさに驚きながら、再び砂礫の道を歩く。
ここには山上湖もあり、
雪渓も残っている。
いよいよ最後の登りの岩場だ。
滑りやすく、脆い岩に注意しながら、
対向登山者と声をかけあい、難所を通過。
見上げると・・・
ローランの裂け目に到着~
真っ正面からスペインの風が吹き渡る。
あの人たちは、このまま国境を越えて、スペイン側のオルデサ渓谷へと行くのだな。
私はカヴァルニーに仕事がいっぱい詰まったスーツケースがあり、ここで引き返さねばならないのが残念。
30分ほど、涼しい風に吹かれながらフレンチピレネーの山々と、スペインピレネーの山々を眺めて、いい気分。
さて、体も冷えてきたのでボチボチ下りますか。
滑りやすい岩場を慎重に下り、砂礫の道をズルズルと滑りながら降りていく。
例の沢の徒渉地点。
そこを通過すると、タンテ峠とカヴァルニーの分岐点。
ここで持参してきたナッツ類とフランスパンをかじりながら、ランチ。
右に下っていけば、2時間でカヴァルニーに着く。
左に行けばタンテ峠。
現在、12時。
このペースだと、ゆっくり歩いても、タンテ峠に14時までには着いてしまう。迎えの車まで3時間も何もない(日陰もない)ところで車を待つより、このままカヴァルニーのホテルまで直行してビール!のほうがどう考えたっていい。
幸いスマホの電波はあり、エージェントさんに連絡をとって、迎えの車をキャンセルしてもらい、ビールを目指してカヴァルニー直行ルートへ。
地図を確認すると、あの左手の山腹沿いに、渓谷の下へ向かって降りていくのだな。
ここはほとんど登るひとも下る人もなく、マーモットだけが頻繁に現れる。
順調に下り続け、カヴァルニーまであと1時間!
ここを下れば・・・
と、異変はこの10分後に起こる。
グングン順調に下ってきたのはいいのだが、気温もグングン上がり、Tシャツ一枚になっていたのだけれど、汗がとめどなく噴き出し、急にペースダウン。
そのうちめまいと吐き気が同時に襲ってきて、道にバッタリ倒れ伏す。
ん? ん?
水を飲もうとしたが受け付けず、意識がもうろうとしてくる。
これ、熱中症じゃ?
やっちまったかー
誰も来ない山中で、脂汗を流しながら、どうするかを考える。
谷間に入っているので、電波もなく、ただカラダの回復を待つのみ。
吐き気がおさまってきたところで、よろよろと立ち上がり、ストックにすがりながら、3歩あるいて立ち止まり、座り込んでは頭を抱えて横になる。。。
昔、栂海新道の最終日に襲われて、ぶっ倒れた熱中症のことを思い出す。
あのときも誰もいない山中で、這って降りるしかなかった。
まさかこの異国の地でこんなことになろうとは・・・
落ち武者のようにストックにすがり、よろよろと歩き出し、2時間ほどかけて村の外れに到達。
ああっ、ホテルが見えた!助かる!
ここからホテルまでの道のりも遠かったが、ホテルの敷地に入った途端、どうにもならなくなり再び座り込む。
そのまま目の前のホテルまでの30メートルが歩けず、30分ほどそのままいたが、ようやく動けるようになり、部屋にゴール。
登山靴を脱ぐこともできずに、そのままベッドに倒れ込む。
いやはや、とりあえず生還だ。
(つづく)
ピレネーの山旅、日本からフレンチピレネーへの旅立ち篇はこちら。
ピレネー山脈への山旅
ピレネー山脈に来たのは、この一冊との出会いでした。
コメント
コメント一覧 (2)
私もパリの観光バスの中で、熱中症になった事があります💦
コメントありがとうございます!
パリも暑いですもんね~
南仏、42℃にもなっていました。。。