八方池山荘に前泊した後、いよいよ雪の唐松岳へ。

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3月のシーズンに登るのは初めてだ。

<唐松岳へのアクセスや登山口情報などは過去記事参照ください>
 唐松岳(春山)


4時過ぎに起床し、階下にそっと下りる。
八方池山荘の食堂で、準備してきた朝ごはんを手早く食べ、雪山装備を整えて、5時に八方池山荘を後にする。

まだ、あたりは真っ暗で、ヘッドランプの灯りを頼りに、アイゼンのよく効く、凍った雪面を登っていく。

夏場だとジグザグと木道を登っていく尾根を、サクッと直登し、八方池へと続く尾根に。

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先行者のヘッドライトの明かりが微かに見える。

やがて、後から茜がさし、

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スピードを上げて、5:30八方池の付近に到着。

まだ眠っている白馬三山。

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10分ほど待っていると、東の空に日が昇った。

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あたりがピンク色に染まり、

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荘厳な北アルプスの雪山の夜明けに、胸が高鳴る。

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この美しい風景に、しばし見とれながら、完全に日が昇ったところで歩き出す。

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まずは、あの丸いピーク、丸山を目指す。

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気持ちのいい朝。

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ほとんど人のいない、雪道。

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静かな雪山の朝に、溜まった心の中のモヤモヤやストレスが晴れていくのがわかる。

やがて、五竜岳や、その背後の鹿島槍ヶ岳もきれいに見え、

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急傾斜の雪面をグイグイと直登。

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ひと登りで、不帰のキレットの稜線が現れた。

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いやー、この見事さ、美しさ。
雪の北アルプスならではの壮大な眺め。

だだっぴろい斜面を登り、

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7:00 丸山へ到着。

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ここまでは、3月にしては無風に近い穏やかさであったが、ここからは吹き降ろしてくる西風があり、冬用ジャケットをぴったり着込み、稜線への登りに備える。

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初めてくっきり見えた、唐松岳。

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ここからも絶景に心を躍らせつつ、だんだん急に、そして険しくなってくる雪道をしっかりアイゼンを効かせて登る。

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稜線に飛び出す直前が、唐松岳では一番の核心部だが、GW頃には心細くなるほど痩せる尾根道も、まだ雪がたっぷりとあって、却って歩きやすかった。

ここを登りきると、

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稜線に飛び出し、目の前には剣岳。

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北アルプスの白い峰々に圧倒され、稜線にしばし立ちつくす。

あとは、唐松岳へのラストスパートだ。

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ところどころ、強風で吹き飛ばされて地面が露出した稜線を行き、最後のアプローチ。

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やがて、白いピークの上に、ぽつんと黄色いものが見え、

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8:20 唐松岳山頂到着。

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2696m.の山頂から見る絶景。

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五竜岳。

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雪の剣。

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遠く、あれは、妙高や火打岳かな。

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20分あまりこの絶景を愉しんでいたが、寒くなってきたので、下山開始。
あの尾根を再び下るのだ。

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稜線からの下り口からしばらくは、アイゼンをひっかけて転倒しないように注意しつつ、雪尾根を行く。

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険しい箇所をクリアして、振返る唐松岳。

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あとは、穏やかな雪のトレースを飛ぶように下るだけだ。

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ここからは考え事をしながら歩く。
4月になれば、一気に部署に人が増える。

その人材育成と、新しい体制での組織の運営をどうやっていくか。
新しい領域の仕事をどう進めて、早期に成果を出していくか。

これまでさんざん考えてきたことを、実行に移す手順と、最初の一歩の会議でどんなメッセージを伝えるか。頭の中でシミュレーションし、反芻し、練り上げていく。

丸山の手前で、稜線の見納め。

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そうこうしているうちに、ほどなく、丸山。

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ここまでは、八方池山荘に前泊した人たちだけの静かな雪山の世界だったが、ここから下り始めると、始発のゴンドラにのってきた登山者が列をなして登ってくる。

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道を譲りつつ、深みにはまらないようにしながら、下りに下り、八方池の畔で絶景を眺めながら山めしランチ。1時間ほど、ゆっくりして、再び歩き出す。

やがて八方池山荘が見えてきた。

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ちょうど考えもまとまった頃、11:00 八方池山荘到着。

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デポしてあった余分な荷物を回収し、リフトへ。

素晴らしい雪山の夜明けと、静かなトレース。
3月の唐松岳、なんともいい雪山山行であった。